働き方の多様化が浸透しつつある現代社会では、働く人のメンタルヘルスの問題も顕在化しています。仕事のストレスを抱えてしまうと、うつや適応障害を発症するリスクとなります。
メンタルに不調を感じた場合の選択肢の1つとして、「休職」があります。休職をすることで、収入源を絶やさずに心身を休めることが可能です。しかしながら、企業によっては、休職までの手続きが煩雑化しており、中々休職に踏み切れないケースもあります。
休職したいけど、方法がわからない
診断書はもらったけど、休職しようにも仕事が忙しくて、難しい、、
上記のお悩みを持っている方は、正しい知識、対応方法を知ることで、自分の身を守ることが重要です。この記事では、会社を休職する方法・手続きを解説します。
会社を休職する方法
会社を休職する上で、必須なものは、病院または、クリニックからの「診断書」です。
※会社に所属する産業医や上司は休職の判断をできません。
精神的に問題を抱え、休職する段階に入ったら(別記事で医療機関を受診すべき人の特徴を解説します)まずは医療機関にて、診察を受けたのちに、診断書をもらってください。また、医療機関を受診する前に、念のため、診断書作成の対応が可能な医療機関であるかを調べてください。
都内であれば、精神科・心療内科は複数ありますので、機関によっては、対応不可施設もあります。東京都福祉保健局に登録されている医療機関に情報が記載されていますので、参考にしてみてください。
診断書をもらった後の対応方法
診断書を入手した後に、可能な限り早く、会社の上司に提出をしてください。
産業医が会社に設置されていれば、産業医に診断書の提出がなされることで、正式に休職することができます。
引継ぎ業務は必要なのか?
結論をいうと「引継ぎ業務は必須ではない」です。
賛否両論ではありますが、精神疾患と診断された社員に引継ぎ業務まで担当させることで、精神状態が悪化するリスクや、また復職までの期間が長くなってしまうリスクが考えられます。
そもそも、休職予定者に引継ぎ業務を強要することは、会社の体質的によくないと考えます。なぜなら、業務が「属人化」していることが顕在してしまうためです。会社という組織で活動する以上、誰か一人が休んでも機能しなくてはなりません。
ですので、診断書を提出後に、引継ぎ業務を無理をして、遂行する必要はないと思います。
筆者も休職した経験があり、休職届を会社に提出後、1週間引継ぎ業務を担わざるを得ない状況でした。甚だ疑問に思いながらも、どうにか全うし、休職できました。振り返ると、引継ぎ業務期間は不要であるべきと考えています。
傷病手当等の手続き
休職期間に入り、体力・気力が回復してきた段階で、傷病手当等の手続きを行いましょう。傷病手当金とは、病気やケガによる休業中に被保険者とその家族の生活を保障する制度です。
会社を連続して休んだ3日間(待期期間)を経て、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます(任意継続被保険者には支給されません)。
傷病手当金の支給要件
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
傷病手当金の受給額は以下の計算式で算出します。
- 1日あたりの金額=直近12カ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2(休業した日単位で支給)
傷病手当金の申請は、事業主(企業)がおこなうことが一般的です。申請は以下の流れでおこないます。
傷病手当金の申請の流れ
- 労働者が業務外の病気やケガにより就業できない旨を報告
- 傷病手当金支給申請書をダウンロード
- 被保険者が被保険者用記入用紙を記入
- 療養担当者(医師)が療養担当者用記入用紙を記入
- 事業主が事業主用記入用紙を記入
- 添付書類の準備
- .協会けんぽ・健保組合へ支給申請
上記が手順の概要となります。休職期間中の経済面は大きな不安要素の一つになるかと思いますので、きちんと手続きをとりましょう。
「復職」までの道のり
休職期間満了に近づいたら、産業医及び主治医の「復職OK」の判断が出ない限り、復職することはできません。
休職者としては、休職期間の延長または、退職の選択肢があるかと思います。自分自身の体調、周囲(家族、友人)などに相談した上で、充分に吟味した上で、判断していくべきでしょう。
自分の身を守るために「休職」という選択肢を優先しましょう
所属する企業環境にもよりますが、まずは、「自分」を最優先に考えて行動することが大切です。会社側の要求が理不尽であったとしても、診断書を受領した後は、徹底的に回復するためにはどうすればいいのかということを念頭に置いて欲しいと思います。
仕事への向き合い方は人それぞれかと思いますが、筆者は、仕事を通じて人生を豊かにすることが重要であると考えます。自分自身で最善の選択肢を実行することが重要です。
コメント