走り幅跳びのルールが変わる?主な変更点と個人的考察

陸上競技の跳躍種目の1つである走り幅跳び。昨今、走り幅跳びのルール変更が囁かれています。筆者が長年、競技者として経験してきたスポーツであるため、この度のルール変更には、深く考えさせられる節がありました。

この記事では、ルール変更の概要から、識者の意見、筆者の個人的考察を紹介します。

目次

走り幅跳びルール変更の概要

走り幅跳びルール変更の概要

近年、陸上競技全般でルールの見直しが進められており、走り幅跳びもその対象となっています。世界陸連が、走り幅跳びの踏み切り板をテイクオフゾーンに置き換えることについて検討しているとの報道がなされています。

テイクオフゾーン内の踏み切ったつま先の位置から計測するうえで、より正確なセンサー技術を導入することで、跳躍距離を正確に測定することが検討されています。

踏み切り板20cm+粘土板10cmに対して、粘土板10cmに足跡が付くと無効試技(ファール)となる既存ルールからの抜本的な変更となっており、関係者の間で様々な批評がなされています。

ルール変更に対する肯定的意見

400mハードル日本記録保持者の為末 大氏は、ルール変更に肯定的な姿勢です。陸上競技に必要な審判の削減につながり、人口減少の著しい日本に望ましいとの見解を示しています。

また、ファールが起こらないことによるプレッシャーの減少から、勝負強さの要素が変化することにも言及しました。

参照:東スポ WEB

ルール変更に対する否定的意見

100mや走り幅跳びで活躍したカール・ルイス(米国)は、SNSにて「エイプリルフールのジョークは4月1日まで待つことになっている」を批判しています。また、新ルールについて「これまでの助走路における規律の一貫性の欠如は長期的に見ると飛距離への悪影響を及ぼすだろう」と新ルールについて否定的なコメントを残しています。

世界陸上ブタペストのチャンピオンで女子幅跳びで7m24cmの自己記録を持つイヴァナ・ヴェレタも、「このスポーツに触れたことがない人たちがルールを変更しているのが最大の問題。アスリートに相談もせず、意見を尊重せずに決定される。私たちも関わるべきだし、アスリートや関わる人たちの意見を尊重してほしい」と強く批判しています。

参照:月陸 online

筆者の考察

筆者は、陸上競技の跳躍(走り幅跳び・三段跳び)を10年以上続けた経歴があり、このニュースを目にしたときには、考えさせられることが多々ありました。

結論、筆者はこのルール変更には反対です。なぜなら、これまでの跳躍種目の歴史が変わってしまうためです。無効試技を減らすことで、試合が盛り上がる、省人化に効果があるなどの影響はありますが、選手にもたらされるメリットが大きくないと考えます。

カール・ルイス氏の言う通り、テイクオーバーゾーンを設けたとて、選手の記録向上に結びつくとは考えにくいと思います。踏切板に合わせる技術とテイクオーバーゾーン内で踏み切る技術は似て非なるものであり、技術面で新たに練習を積む必要があると考えます。

上記を踏まえると、従来の跳躍種目を支える根幹となるルール変更が適用されると、競技自体が全く別のものへと変わってしまうリスクを包含しているといえます。私はこの点から、本ルール変更には批判的です。

走り幅跳びのルールについては、無効試技を行った場合は、その回数分の試技数を増やすなどの変更には個人的に賛同できます。無効試技となる判断基準を変えてしまうのはいかがなものかと思います。競技経験者としては、有効試技が無効試技かをTVや大型ビジョンで写し出される場面もエンターテインメントの一部で陸上競技の醍醐味であると考えています。

まとめ

陸上競技をはじめ、スポーツには厳格なルールが定められているからこそ成立するものであると思います。時代の変遷や競技者・視聴者の価値観の変化に伴って適切にルールを設けて、運用していくことが今後のスポーツ界の発展に寄与するでしょう。今後も、陸上競技のルールに関する動向は追っていきたいと思います!

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